王国ファンタジア【雷電の民】
わしが言うのもなんやけど、麓の村からここに到るまでの道っちゅうんはかなりえげつない。
道なき道を行く、言うんかな。有り得へんぐらいの足場の悪さや。加えてここ特有の強風。少しでも気ぃ抜いたら真っ逆さまにあの世行きってな。
五体満足でも踏破するんが難しいこの山道をあの兵士の兄ちゃんは一歩一歩、やが確実にここまで来よる。
さすがにここからやと表情はわからん。けど、たぶんその両の眼には強い光が宿っとるんやろう。
なあ兄ちゃん。あんたがそこまで頑張るんはなんでや。なんでそこまで頑張れるんや。
ここに来たかてなんもあらへんのに………。