SKY
「春磨・・・サトシは助からん。今夜が峠やって先生に言われたわ」


「峠?ウソやろ?そうだとしてもなぁ。サトシは越えるで。越えて・・・いつもの様に俺に憎たらしい事言うんや」


そうや。越える。サトシは生きるんじゃ!


俺を1人にせんでくれ!


サトシのオカンは椅子に座ってずっと泣いてた。


オヤジはずっとサトシを見てた。


涙を流しながらずっと息子を見てたんや。


俺もオヤジの隣でずっとサトシを見守った。


「生きろ。サトシ・・・頼むから生きてくれ」


神頼みなんか滅多にせん俺やけど今回ばかりは頼らせてもらうで神様。


もし神様が居るのであればどうかサトシを・・・サトシを助けて下さい。


「春磨。お前と一緒に事故ってなくて良かったわ。お前まで失ったら辛いからなぁ」


オヤジがサトシから目を離さんで俺に言ったんや。


どうして・・・俺はサトシを取らなかったんやろ。


サトシと一緒にさえ居れば車になんか乗る事は無かった。


俺が女を取ったばっかりにサトシがこんな目にあったんや。


俺がサトシを・・・


「オヤジ・・・すまん。俺が・・・サトシをこんな目に遭わせたんや。俺が・・・」


ガラスに手を付いてる俺の手に冷たい感触が下りた。


グシャグシャに泣いた。


「春磨のせいやない。これがサトシの運命やったんや。サトシ痛かったかなぁ?それとも感じなかったかな?感じて無いといいなぁ。」


頬に涙を伝わせて言ってるオヤジ。



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