SKY
「ちょっくら流しってくっか!久し振りに」


「えっ?雨降りそうやで?途中で振られたらどうすんねん?」


「それもええかもしれんなぁ!」


煙草の火を消し、そのままアクセルを握ってガレージから出た俺。


空はどんよりしてて、ほんまに今からでも雨が降りそうやった。


チームで流したルートを一つ一つ確認しながら湿った空気を纏わりながら走り続けた。


一通り流して、良く来た海。


何度も麗奈と喧嘩した海。


何度も麗奈の涙を見た海。


何度も麗奈を抱き締めた海。


海の思い出なんか・・・すべて麗奈とや。


海を眺めてると顔に水の感触。


俺、こんなんで男泣き?なんて思って頬に手を当てたら涙じゃなかった(汗)


やっぱり降って来た雨。


だけど、雨宿りする気にもならんし帰る気もせんからしばらくそのまま雨に打たれながら海を眺めてた。


空は俺の気持ちが分かってるのか?


俺の心もグレーで雨の様な涙で溢れてて・・・


ジメジメしてて、女々しくて。


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