ロンリネス
何も覚えてません。
ただ一つ、〝一瞬の出来事〟というのだけは理解できます。
「可哀そうに。あの子これで身内が誰一人いないじゃないの」
近所のおばさん達の会話が耳についた。
「あらま。親戚もいらっしゃらないの?」
「そーなのよ。両親ともに一人っ子で、しかも両方の両親はすでに亡くなってらっしゃるそうよ」
あの人たちは何を考えて言っているのだろうか。
ただの噂好きか?
それとも本当に私のことを心配してくれてるのか?
…まぁどっちにしろ、私には興味がない。
周りの人はみんな黒の服を着ている。
そう。
今は私の両親の葬式の真っ最中。