ロンリネス
栄一さんの遠のいていく足音が聞えた。
私はいそいで鏡台の前に座った。
栄一さんは鏡台まで用意してくれていた。
『うわー…髪ボッサボサ…』
鏡台にはくしもあった。
栄一さんはほんと優しい。
急いでくしで髪をといた。
だけどその時にあることに気付いた。
『やば…。私焦ってて、制服のままだったんだ』
両親の葬式のそのままの服装で来てしまってたのだ。
休日なのに制服なんて、実におかしい。
私はいそいでバッグから服を取って着替えた。
長袖の普段着に膝丈のズボン。
まぁこれから私の家になるんだし。
いつもお出かけ着ってことはありえないからね。
私は部屋を出て1階に下りた。