~タイムリミット~
気が付いた時、私は自分の中に居た
何もなくて寂しく悲しい所

だからすぐに自分の中なんだって分かった

周りを見ても本当に何もない


・・・当たり前か


私には此処に残すほどの思い出がないのだから
・・違う

私は此処に残せないんだった・・・



――目の前に柵を見た

何もない私の中にあった柵
コレは・・・



「三途の・・・柵?」



向こうに行けば帰って来れなくなるのかな?
別に帰りたい場所がある訳でもないけど

戻りたい場所はあるか・・

いっそ向こうに行けば私の記憶は無くなるだろうか?
あの記憶が・・


そっと柵を触った
でも次に見たのは柵の向こう側なんかじゃなくて・・



「―――ッッ由美!!!」



ろくに家に居ない親の姿

そうだよ・・


帰ってきたって私は独りなんだ・・・



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