Utopia
「あら、密くん。」
……
「悪いわねー。でもあの子達、優季じゃないと起きないのよ。」
「へぇ、すごいですね。」
………………
「全く、妹離れできない兄で困ったものよね。」
「いやいや、立派な妹さんですからね。」
……………………
「あら、寿彦に朝ご飯を任せっきりにしちゃったわ。…優季!早く陽達おこしてねー。」
「お疲れ様でーす。」
「……河島…密…さん?」
「なーにー?優ちゃん。」
にやっとこっちを振り返るその締まりのない顔は、昨日の夜私が会った変態そのものでした。
「…なんで私はアンタの名前を知ってるんでしょうね。」
「だって昨日俺がここ来たとき優ちゃんいたもん。」
「…………。」
結論から言うならば
あの男、河島密(かわしま ひそか)は、私の兄の同級生でした。