Utopia
「…変態と同居?」
「………桐……。」
まあ、身も蓋もない言い方をすればそうなるのかもしれないが。
「同居じゃないよ。密さんはうちの裏に引っ越して来たんだって。」
「優季んちの裏ってあの化物屋敷でしょ?度胸あるね、そいつ。」
朝の教室。
珍しく朝からいる桐と飛香に、さっそく昨日の話をした。
「……そういえば知らないみたいだったかな。」
「えー!ここらへん何にもゴラクないから、化物屋敷知らない人なんていないよ!」
「飛香、うるさい。…その人、今までどっかいってたの?」
桐が興味なさげに尋ねて来る。
そんなこと聞かれても、私だってあの人とはものすごく他人だ。
「さぁ…大学とかじゃない?奈津希は地元だから家にいるけどね。休みの間だけとか。」
引越し…ってのが気になるとこだが。
「え!奈津希さんとタメだってことはー…二十二!」
「そーだね。」
「大人じゃん!どーだった!?イケメン?」
飛香がここぞとばかりに身を乗り出して来る。
え…