Utopia
「やめな、飛香。」
「えー…桐だって、イケメンだったら気になるでしょ?」
「別に。」
「かーっ!これだから向こうからやってくる側の女は!」
飛香が髪を振り乱して怒るフリをする。
確かに桐なら選り取りみどりだろうけど、別に飛香だって可愛いと思う。
二人とも、可愛くなる方法を知ってる。
「だいたいね、優季に男の顔なんか聞いたってわかんないよ。」
「………うっ、」
その話はやめてよ、と言う前に飛香が首にしがみついてくる。
「えー?なにそれー?」
私と桐はなんだかんだで三年間同じクラスだったが、飛香とは三年になってから知り合った。
桐は前から友達だったみたいだけど、私はそんなに顔は広くない。
だから飛香とはまだ二か月の仲…のハズなのに。
「あたしの知らない優季なんてやだー!」
「飛香、重い!」
この懐かれっぷりはなんなんだろう。
私達を呆れたように一瞥して、桐は鼻で笑った。
「優季は男の顔の善し悪しが、ちんぷんかんぷんだからね。」
「…なんじゃそりゃ。」
「桐!」