Utopia
そもそも朝早く(別に早くもないが)起きる必要もないこの兄達をなぜ私が起こすのか。
このわけのわからない唯一の家族ルールは毎朝守られている。
「ほんとに優季だと起きるのよねー、あの二人。」
「……私だって朝は辛いのに。」
我が家で朝もいつもと変わらないのはこの母親と三男の暁季(あき)だけだ。
私はまだマシな方。
ちなみに、暁季はただいつもテンションが低いだけだという説もある。
「ていうか私とか関係ないよ。お母さんが甘いんだって。」
「そうかしらー。」
「そうだよ、ああいう奴等は窓から放り投げるぐらいの勢いで…。」
「優ちゃんに甘えてるんだと思うけどねー。」
「知らないよ…あーあ、なんで暁季が遠くの大学に……」
「…?なに、優ちゃん。」
なんでアンタは当然のように都堂家の食卓にいるんだ。
「だって朝からこんな綺麗な奥様に誘われたら…ねぇ?」
「やだー、密くん。おかわりいる?」
「あ、お願いします。」
「おはよ、密くん…」
「陽希サン、はよーっす。」
…馴染みすぎだ……。