Utopia
「お母さん、父さん起こした?」
「やだ、忘れてた。優季もついでに起こしてくれればいいのに。」
「アホか。あのバカはまさにお母さんの声でしか起きないじゃん。」
「優ちゃん、親に向かってバカとかアホとか言わない…」
「変態は黙っててくれます?」
そっちを見もせずに朝ご飯をかき込めば、密さんが演技臭く泣き真似をした。
「朝の優ちゃんって怖い…。」
「優季はいつもあんなんだ。」
「あら奈津、おはよ。」
「おせえぞ奈津。」
「偉そうに言うな、陽希」
「…ごめんなさい。」
「全く、優季がお姉さんみたいね。」
「お母さんは早く父さん起こしに行かないと、遅刻するんじゃない?」
「…はい、ごめんなさい。」
全く、どっちが母親なんだか。
クスクス笑う密さんの足をテーブルの下で思い切り踏んづけた。
バタバタと急いで学校の支度をする。私は無遅刻無欠席。素晴らしい生徒なんだ。
かなり危ないが。
玄関で靴を履いて家を出ると、ゴミ出し当番の陽希に出くわした。