Utopia











「君、高校生かい?暗くてよく分からないんだが、どこの高校?」


「……………。」






地味だ地味だと女子生徒に普段ぼろくそ言われているこの制服が、私はけっこう好きだった。

神様はそんな私をちゃんと見ていてくれたにちがいない。
ありがとう、神様。
ついでにこの警官に急性盲腸炎か何かを与えて下さい。






「答えないつもり?…とにかく、交番まで来なさい。」



掴まれそうになった腕をサッとよける。
警官の男は虚をつかれたようで、すぐにムッとして私を睨んだ。(暗いから分からないがたぶん睨んだ)




「あのなぁっ、……ん?
ていうかお前…酒臭いぞ。」





万事休す。


気が遠くなるようだが、なぜか笑えた。

まるで不良。というか、だれがどう見ても不良女子高校生だ。






なんとなく口調が乱暴になっているこの男。声からしてまだ新米だな、と人ごとのように思った。

さて、暗闇で顔もバレてない。交番に連れて行かれる前になんとか逃げたいな。




「最近の女子高生は…!なにを考えているんだ!どうせ男の家にでも居たんだろ!」


「あ、」



マズい、腕が。








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