Utopia
「ちょっ、放して、」
「放すわけないだろ!親に心配かけて…!」
うるせー、ハゲ。(暗くてわからないが、たぶんハゲてない)
着信0なんだよ。
心配されてなさすぎて逆にこっちが不安になってた所だっつーの。
と心中でツッコミを入れている間にも、やはり男女の力の差は大きい。どんどん交番へ引きずられて行く。
コレはちょっとマズいだろう。
掴まれた腕に汗が滲んだ。
もうこの際、桐でもいいから助けてくれないだろうか。
いや、困ってる市民を助けるのは警官の仕事だ。
じゃあ無理じゃん、こいつが警官じゃん。
「…ったく!いくら好きな彼氏でもな、まだ高校生なんだから限度ってもんが…」
「だからいつまでそのネタ引っ張るんだっつーの!」
「痛ぇっ、」
…ハッ!
思わず警官の脛を思い切り蹴ってしまった。
ローファーだから結構いたかっただろう、その場に蹲る彼が少々気の毒になってしまった。
「あの、すいません…ありきたりなボケだから放置したんですけど、あまりにも引っ張るから…。」
「何に謝ってんだお前…。」