【短編】負けず嫌い
そう怒鳴って抱きしめる力をきつくした。
やっと……自分の気持ち伝えられたのに。
やっと……こいつの気持ち聞けたのに。
なかった事になんかできっかよ!
するとおれの声にビクッとした茅捺は、目を見開いた。
でもしばらく抱きしめていると、茅捺は大人しくなった。
「あんな事して悪かった……」
でも。
「好きな女にキスされたら、どんな男だってああなるよ」
たとえそれが頬でも。
嬉しくって舞い上がっちまうんだよ。
「茅捺の気持ち優先できなかった事は謝る」
それはホントに悪かったと思ってるから。