【短編】負けず嫌い
「でも……おれ、我慢できなくなるくらいお前の事好きなんだよ」
ギュッと抱きしめる。
小さい茅捺の体をギュッと。
するとそっと、おれの背中に茅捺が腕を回した。
「え……」
「ごめん……」
俯きながら茅捺が謝る。
「いや……」
目を逸らしながらおれは焦る。
「自分の事ばっか考えてた」
そう言って茅捺はやっと笑った。
その笑顔を見て、おれも笑う。
……やべ、可愛い。
おれは茅捺の顔にゆっくりと近づく。