無口なdarling【Christmas night】
Christmas night

ガクガク、プルプルと立っている足が震える。

12月の半ば、もちろん日付は25日。

駅の真ん中で、私は一人ある人が来るのを待っている。

「お待たせ~」

待ち合わせをしている人たちのそんな声がそこらじゅうに響いている。

そんな中私は一人、石みたいに固まっていたりする。

可愛くネイルした爪を隠したくなくて、手袋をしてこなかったのがいけないんだ。

だからこんなにガクガクと震えているんだ。


・・・


違う。この震えは寒いからなんじゃない。


「きっ緊張する・・・」


手に持った手土産。(私のお気に入りのケーキ屋さんだから味は間違いない)


少しでも可愛く見られるように、日曜日に買いに行ったワンピース。


いつもより少しだけ控えたメイク。


それと、忘れちゃいけないのが・・・大好きな彼へのプレゼント。


準備は完璧なはずなのに・・・緊張する。


「澄子?」


待ちに待った声がして、パッと顔を上げる。


「猛!」

「お前!まだ待ち合わせた時間より30分も前なのになんでいんだよ!?」


冷たくなってしまった私の体をギュっと抱きしめてくれる。


「きっ緊張して家にいても落ち着かなくて」


「バカ。それなら連絡しろっつーの」


私の手を握り、ぶっきらぼうにそう言った。

口調は少し冷たいけど、心配してくれてるって知ってる。


「ごめんなさい。でも猛も早くない?」

「あー・・・」

バツが悪そうにそっぽを向く猛。

「もしかして・・・猛も?」
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