無口なdarling【Christmas night】
「るせー」
私の方に向かずに、そう言い捨てるとスタスタと改札に向かう猛。
嬉しくって、嬉しくって、
寒かったことなんかとっくに忘れてしまった。
良かった。手袋してこなくて。
この方が直に猛のぬくもりを感じるもんね。
「猛・・・緊張するよ」
「そうか?」
どうしてクリスマスに私がこんなに緊張しているかと言うと、
実は今日のクリスマスは猛の家でのクリスマスパーティー。
もちろんそこには猛のママやパパ、猛のお姉さんがいる。
猛が「紹介したいんだ」って言ってくれて、天に舞い上がるくらい嬉しかったのだけど・・・。
「緊張するー!!!」
「るせー!」
道端で大声でそう叫ぶと猛に怒られてしまった。
猛は自分の家だからいいかもしれないけどさぁ?私がどんなに緊張してるか分ってくれてもいいのに!
シュンとしながらもプリプリと怒り、そこら辺にある石をコツンコツンと蹴る。
「大丈夫だっつーの。俺が選んだんだから」
「・・・え?」
大丈夫って・・・
猛の顔を見ると、少しだけ微笑んでいた。
お互いが引き合うように自然と唇が近づく。
細い道だから、周りには人がいないけれど・・・いつ見られるか分からない。
だけどそれでも猛に触れていたいと思うのは、クリスマスの効果かな?