Tears〜硝子細工の天使〜
‡世界で一つの贈り物‡
心の中はすっきりしないまま
いつしか、二回目のかほの誕生日を迎える頃となっていた。
よしきは絵を描くのが趣味の一つでもあった。
かほが遊びに行くと、スケッチブックを広げ
熱心に絵を書いている時もあった。
「今度の誕生日には、絵を描いて!
世界に一つしかないものになるから…」
かほが頼むとよしきは快く承諾してくれた。
よしきの絵は繊細でとても好きだった。
世界に一つだけしかない
私の為に描いてくれる絵・・・
どんな題材かは、よしきに任せることにした。
よしきが描く絵を見ていたから雰囲気はわかっていた…
「よしきのセンスを信じてるからね!」
よしきは一瞬困惑したような表情を見せたが
「じゃあ、文句言わないでよ」
とおどけて笑った。
「仕上がるまでは、絶対見せないでね」
「当然でしょ!」
つかの間の幸せな会話
つかの間の幸せなひととき…
かほはそれが偽りではないことを
心の中で祈り続けた。