Tears〜硝子細工の天使〜
‡絶望‡
ある日の晩―
かほは決心していた。
どんなに卑劣だろうと、ここまで来たら確かめるしかない…
ただ真実が知りたいだけだった。
不安をぶつけても、よしきは面倒くさそうになり、逆切れする。
きっと痛いとこを付かれるから
苛々するのだろう…
以前のような幸せを感じなくなっていた。
それどころか、不信感がどんどん雪だるまのように膨らんでいく一方だった。
――夜中の3時――
かほが目を覚ますと
よしきは静かに寝息を立て、熟睡しているようだった。
《今だ!!》
かほはチャンスを逃さないよう
よしきの様子を横目で窺(ウカガ)いながら
そーっと携帯に手を伸ばす…
よしきは全く気付いていない。
携帯を持つ手が震える。
今、目を覚ましたら
なんと言い訳をしたらいいのだ…
《どうか目を覚ましませんように…》
かほは祈る思いで
音がしないよう静かに携帯を開いた。