Tears〜硝子細工の天使〜
‡女同士‡
かほは車に乗るとすぐ、先に登録しておいたあおいの携帯に電話した。
コール音が鳴り続ける…
その音を聞きながら、かほは次第に冷静さを取り戻していた。
あおいに喧嘩を売るつもりなど毛頭ない。
普通に話せる位の気持ちの余裕はあった。
何度目かのコールのあと
「もしもし…」
低い声がした。
「突然すみません。あおいさんですか?」
「……はい・・・・」
怪訝そうに答えるあおい。
かほは続けた。
「ちょっとお尋ねしますけど…
山下良幸さんご存知ですよね?」
よしきの本名は、家に出入りしていれば
郵便物等から自然とわかることだった。
「えぇ…」
「どういうご関係ですか?」
まず知りたいことを聞いてみた。
「どういう?
……付き合ってますけど?」
やっぱり・・・・・
予想していただけに
かほはさほどショックは感じなかった。