Tears〜硝子細工の天使〜
‡ブラックメール‡
かほはあるテレビ番組からヒントを得て
ある日娘の里沙が眠った隙に
里沙の携帯をそーっと持ち出した。
《返事はくる…》
どこかで確信していた。
男のくせにメールがマメで、かほと知り合ってからも
《メル友はいる》と言っていた。
よしきは人見知りが激しいので、メールでのコミュニケーションが好きだった。
かほが会いたいと言わなかったら、ずっと他愛ない話をするメル友のままだっただろう…。
話題には事欠かないほど、雑学をよく知っていたし
真剣でマジメな話も、お笑いネタも何でもできた。
そして付け加えて言うなら……
男には珍しく、下ネタを振ってくることはまずなかった。
それがかほにとって
好印象だったことは確かだった。