Tears〜硝子細工の天使〜
‡苛立ち‡
かほは愕然とした。
どうして?
どうして、この人なの?
よしきはいつも
《僕は面食いだし、一緒に歩いて恥ずかしくない人がいい》
そう言っていたはず…
それが何故この人?
この人に私負けたわけ?
納得がいかなかった。
すると安部はかほの気持ちを見抜いたかのように言った。
「…それが、あおいさん、お化粧すると別人のようになるんですよ」
かほは悔しくて、ビデオに映るあおいを睨みつけた。
そういえば以前こんな会話をしたことがあった。
「お化粧で凄く変わる人っているじゃない?ズルイよねぇ
私なんかお化粧しても大して変わらないんだもん!」
「かほちゃんは元々作りがはっきりしてるからだよ」
「でもお化粧でさもない顔が綺麗になる人、羨ましい
お化粧上手になりたい!
でもスッピンになった時、ギョッとするよね」
「ん〜僕は別に気にしないな
お化粧上手なのはいいことだし
外へ出る時ビシッとキメてくれたら」
それはあおいのことを意識して言っていたのだ
と、今気付いた。
かほはあおいのカタを持ったよしきの発言を思い出し
腹立たしい気持ちで一杯になった。