Tears〜硝子細工の天使〜

そしてしばらくすると、絞り出すような声で言った。


「アイツには借りがいっぱいあるし、酷いこともしたよ…


……アイツがおかしくなったのは俺のせいなんだ」


「…どういうこと?」

かほがやっと口を開いた。


だがよしきは

「いや…かほちゃんに話せることじゃないから…」

そう言うとまた黙り込んだ。


そこまで言って焦(ジ)らすよしきを恨めしく思った。


「ねぇ、あおいさんと戻った時、どうして私に正直に話してくれなかったの?

そしたら、私諦めてたかもしれないじゃない?

それを一年も黙ってて…

どれだけショックだったかわかる?」



今度はかほが話をする番となった。


「あおいさんには敵わないってずっと思ってたから

あの時だったら仕方ないって思えたかもしれないのに…


よしきは私にちゃんと言うべきだったと思う。


ずるいよ、一年も……」


二人は感情的にならず

お互いの気持ち、その時の状況を

素直に言葉に表現することができた。
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