Tears〜硝子細工の天使〜

二人が出会って、三度目のかほの誕生日の一週間前――


悲しいことに、またあおいが来ることになった。



「…そんな!

誕生日が近いってわかってるんだから、なんとかならなかったの?」


愕然として言うかほに、よしきはただ謝るだけだった。


「その日なんとか出てこれそう?」

せめて、誕生日は会いたかった。


だがよしきは

「約束はできない…」

そう言うだけだった。



あおいに遠慮ばかりしているよしきに対し

何故そこまで言いなりにならなければいけないのか…

どんな深い理由かあるのか…

かほには全く理解できなかった。


それを聞いたところで、よしきは

「プライバシーだから…

それに…言っても理解できないと思うから、言えない」

断固としてそれを繰り返すばかりだった。


「言えないってことは、ホントは理由なんかなくて

ただよしきが別れたくないだけじゃないの?

好きだからじゃないの?」



何度同じやり取りを繰り返しただろう。


その度、よしきは

「君は何を言っても信じないだろ?

そう思うなら、好き勝手に思ってればいいさ」

半ば諦め顔で、そう言うだけだった。
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