Tears〜硝子細工の天使〜

家に着くと、すぐによしきにメールをした。

『ただいま〜!
楽しみって何のことか分からない……』

と、とぼけた振りをした。



『今から行くからね!』


そんな返事を期待していた。

ところが…

『まだだったんだね。
もうじきわかるよ!』


???まだだった?

……なんのこと??


よしきの言っている意味が、かほにはさっぱり分からなかった。


ただ、よしきが会いに来るのではないことだけは大方察しがついた。


『もうすぐきっと届くよ!』


かほの気持ちなど、まるで気付いていないよしきは

一人満足そうなメールをよこして来た。


《なんだ、何か送ってくるんだ……》

"届く"という表現に、すぐそう気付いた。


期待をした分の反動で、かほは大きく落胆した。


一気に疲れを感じ、座り込んだまま、メールの返事も返さなかった。


身動きするのすら億劫で、ただそのまま時間だけが過ぎて行った。





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