Tears〜硝子細工の天使〜

それから30分も経たないうちに

《着いたよ》

の合図のワン切りが聞こえた。


かほはまだ腹立たしさを感じていた。


祥子には

《危険を犯しても来てくれるんだから、怒っちゃダメだよ!》

そう言い聞かされたのだが

車に乗り、明らかに不機嫌な顔のよしきを見ると

またフツフツと怒りが込み上げてきた。


何とか冷静を装い

「大丈夫なの?」と問い掛けてみると


「さぁね・・・だって来ないと君の気が収まらないでしょ?」

よしきは呆れたように言った。



――怒ってる…

だったら無理しなくていいのに…



よしきの冷たい態度に、来てくれたことへの感謝の言葉も浮かんでは来なかった。

そればかりか、よしきを責める言葉しか出て来ない…




そうこうするうち、よしきがキレた。



「無理して来たのに、またここでそんなこと言われなきゃいけないの?

…もう君とは付き合っていけないよ。

僕は僕なりにやってるつもりなんだ。

それをこれ以上求められても、僕のキャパの範囲を越えている」





・・・最悪な誕生日になった。



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