Tears〜硝子細工の天使〜
‡蝕まれた心‡
保育園では新学期が始まった。
入園したばかりの子供は、お母さんと離れるのが嫌で泣き喚く…
両手に何人もの子を抱え、あやしながらも
あちこちに目配りしなくてはならない。
四月の保育園は本当に戦場だ。
部屋から脱走する子
おもらししてしまう子
おもちゃの取り合い
着替えができず泣き出す子…
肉体労働と言ってもいいほど、体力勝負の仕事だ。
一日中保育園内を走り回って、ようやく園児が帰ると
掃除、そして職員会議が長々と続く…
帰りはたいてい7時頃。
行事の前になると、準備に追われて、10時を過ぎる日が続いた。
若い職員に混ざって同じように動くには体力で負ける。
その上、プライベートはぐちゃぐちゃだ。
かほは、誕生日の一件を境に
段々と発作を起こす回数が増えていき、薬は欠かせないものとなっていた。
毎晩のように、泣きながら眠りにつく…
朝起きると気分がどんよりしていて、布団から出られない…
立ち上がると吐き気をもよおし、トイレに掛け込む。
それでも生活の為、仕事を辞めるわけにはいかなかった。