Tears〜硝子細工の天使〜
‡運命の分かれ道‡
それからのかほは、トイレ以外は布団から出られず
重たい体をただ横にして一日を過ごすだけの生活をしていた。
何をするにも億劫で、布団に横たわっているだけでも、気持ちが沈む…。
テレビにも新聞にも、全てに興味がない。
強いていえば、食欲だけはあったが、その他の欲も全くない。
起き上がる気力さえもない…。
だが、家事を代わりにやってくれる者もいないし
誰も病気を理解してはくれない……
人と接触するのも、話をするのも面倒だった。
唯一、よしきとのメールだけがこの時のかほにできることだった。
だが、それも余り楽しくはなかった。
一人異次元に取り残されたような孤独と
自分の壊れた心の所在のなさを嘆く日々が続いた。