Tears〜硝子細工の天使〜

以前、こんな事があった。


「ゆうべ、あおいに悪戯電話しただろう」

とよしきから疑われたことがあった。


その晩は奈那が泊まりに来ていて、三人でくだらないお喋りに興じていた。

かほでないことは二人が実証できる。



しかし、よしきは決めつけてかかり、かほの言うことを、最後まで信用してはくれなかった。


ショックと悔しさの余り、泣きつかれてかほが眠っている間

里沙と奈那がかほの携帯からよしきに電話し

『ゆうべ三人で話してたから、その時間は絶対ママじゃない』

と抗議したという…


だが、よしきは子供を使い、口裏を合わせ

言い訳してきただけだとしか、受け取れなかったようだった。


まともに取り合わず、二人に素っ気ない返事をしたという……


そんな経緯もあり、かほに幸せになって欲しいと願っていたに違いない。


起きてきて、その話を聞いた時は

《余計なことしてくれたもんだ…》

と頭を抱えたが

幼いながらも、かほの無実を伝える為

勇気を持って電話してくれた彼女達…



それだけに、秀人とうまく行けばいいのに

という気持ちが強かったのだろう。
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