Tears〜硝子細工の天使〜

家に着くと佳奈子は秀人にメールをした。


『今日は大変お世話になり、夏休み最後の楽しい思い出を作ることができました。

ありがとうございます。

社長さんや今井さんにくれぐれも宜しくお伝え下さい』


型にはまったありきたりの内容だった。


『こちらこそ、りさちゃんやななちゃんに楽しませてもらいましたよ。

佳奈子さんの美しさにも感激しちゃいました。

来週を楽しみにしています。また連絡しますね。

今日はゆっくりお休み下さい』

同じように型にはまった社交辞令のようなメールだった。



この先、二人がいつの日か付き合うことになることは

お互いどこかで予想していたに違いない。


新たな恋の予感に、期待を膨らませる反面

これで本当に、よしきと終わらせることができるのだろうか……?


かほの迷いや疑問は、簡単には拭い去れなかった。



.
< 292 / 361 >

この作品をシェア

pagetop