Tears〜硝子細工の天使〜
二人はとても対照的だった。
太陽の似合う秀人が《陽》だとしたら
ビジュアル系バンドで、目立たないキーボードを担当しているかのようなよしきは《陰》だった。
明るい仲間がいていつも目が無くなるように笑う秀人…
無表情で人を寄せ付けないオーラを放っているよしき…
アウトドア派の秀人に、インドア派のよしき。
日焼けして、短髪に憎めない顔の秀人に
髪が長く、日焼けを嫌い、日焼け止めを欠かさない色白のよしき。
どちらが好みかとは言えない。
それぞれに良さがある。
それぞれに魅力があった。
しかし、滅多にいないタイプのよしきの危うい魅力に
かほの心は取りつかれていた。
秀人に惹かれながらも、未だよしきを強く欲している自分に
かほ自身、呆れるほどだった。