Tears〜硝子細工の天使〜
‡想いを秘めて‡
それから秀人と佳奈子は急速に仲良くなっていった。
元々子供達の方が先に仲良くなったようなものだ。
秀人は佳奈子の家に頻繁に遊びに来るようになり
二人きり、というよりは、食事に行くのも子供を連れみんなで行く…
まるで家族のように、秀人は3人の中に溶け込んでいた。
「かなちゃんのうつは、絶対僕が治すからね。
絶対治るから一緒に頑張ろう」
と秀人はいつも言った。
ひょうきんで明るい秀人は子供の友達にも好かれ
いつもみんなを笑わせて、佐藤家は笑いの絶えない、更に賑やかな場所となった。
誰もが秀人との交際を喜び、祝福し、歓迎し
佳奈子はかほを忘れ
佳奈子が佳奈子でいられる、安心感を感じていた。
あれ以来、よしきからの連絡は、一切ない……。
そんなことすら気にならないほど、毎日が充実しており
秀人にすっかり甘えきって、穏やかに時は流れていった。