Tears〜硝子細工の天使〜
‡逃げた男‡
かほが全て話し終えると、よしきはそっと自分の傍に抱き寄せた。
「ホントのこと言ってくれてありがとう。
君の様子を見てれば察しはついていたよ。
内心穏やかじゃないけど、今度は僕が耐える番だね。
僕が君にしてあげられないこと、彼に甘えてしてもらうといいよ」
淋しそうに言う。
「…耐えるって・・・あおいさんいるじゃん!
私はずっと一人だった。
一人で耐えた…
でもよしきの場合は違うよ。
私と同じ気持ちにはなれないよ!
これでおあいこになっただけなんだから…」
よしきが淋しげにしているのが
その時のかほにはポーズとしか取れなかった。
「君は何にも解ってないね。何回同じこと言わせるの?
あおいとは愛情とか恋愛とか彼女とかじゃないんだよ。
いなくなってくれたらどんなにいいと思ってるか、君には解らないよね?
悪いけど、アイツは俺のお荷物でしかないんだよ。
……ねぇ、別れさせ屋に頼んだ時
なんで本当に別れさせてくれなかったんだよ!!」
よしきは興奮していた。
かほに彼氏ができたことを知り
面白くないのも手伝っての苛々だっただろう。
.