Tears〜硝子細工の天使〜
間髪入れずにかほは答えた。
「ごめん…
実はもう半年位前から別居してる・・・」
唖然として言葉も出ないでいるよしきに、かほは続けた。
「別居してるって言ったら、本気になられたら困るって…
ひいちゃうと思ったから…
それに、春には戻るって話になってるし…
時々突然様子見に帰ってくる時あったから・・・・」
夕飯を作りに来ても
旦那が帰ってくるから…と一緒に食べずに帰り
旦那寝たから、と言い夜中に来る…
それがよしきには不満だったのだろう。
《うまくいってないなら別居して欲しい》
そんな気持ちになって当然だ。
でも・・・・
子供がいるとは思っていない。
「そっか、別居してたんだ。ホッとしたよ」
よしきは安堵の表情を見せた。
それとは逆にかほは
《これからどうしよう…
もう旦那が帰って来るからって理由はつけられない・・・》
帰らなければならない理由がなくなったことに不安を覚えた。
今更子供がいるなんて…
言ったらもうおしまいになる…
多分嫌われる…
《嘘をついたこと》よりも
《子持ちなんて、例え離婚してくれても厄介なだけだ》
そう思われるのが恐かった。