Tears〜硝子細工の天使〜
‡葛藤‡
実際に夫とは、半年の約束での別居だった。
その間に頭を冷やそうと…
《メル友くらい作ったって罰あたらない!》
夫に対してそんな気持ちがかほにはあった。
でもまさか、こんな風になるとは…
こんなにもこんなにも
一緒に居たい、離れたくない相手に
巡り逢うとは思ってもみなかった。
約束の半年が近付くに連れて
かほの気持ちは揺らいで行った。
子供のこと、今後の生活のこと
現実を考えると
離婚する勇気はなかった。
かといって、夫が戻ってきたら
よしきとは終わらせなければならない…
《そんなの嫌だ!》
よしきと会えなくなることなど
考えられなかった。
いや、考えたくなかった。
夫は相変わらずだった。
何も変わらなかった…
電話での言い合いもほとほと疲れていた。
《私はよしきを逃げ場にしているんだろうか?
現実逃避をしているだけなのか…?》
かほは毎日自問自答していた。
夫ともう一度やり直し
淡い夢だと諦めるか・・・・
それとも・・・
《よしきを失いたくない…》
それだけは確固たる真実だった。