Tears〜硝子細工の天使〜
かほにはまだ秘密にしていたことがあった。
―――それは…年齢……
「かほちゃんの子供いくつ?」
かほはドキッとした。
中学生…なんて言えば
腰を抜かすに違いない。
年齢的にも不自然だ。
迷いに迷った末
かほは懇願するように言った。
「ごめん、それだけは聞かないで・・・」
よしきはそれ以上何も聞いてこなかった。
子供がいるということを知られた事は
かほにとって好都合だった。
もう嘘などつかなくてもいい。
「子供が待ってるから帰るね」
そう言えば
よしきは引き止めることはしなかった…
しかし、かほにとっては楽になっても
よしきは、人知れず淋しさを我慢していたのだ。
物分かりのいい
大人の男を演じてはいたが
かほと自由に居られないもどかしさに
罪のない子供に
嫉妬さえ覚えたりもした。
そんなよしきの気持ちは
その時のかほには
全く想像もつかないほど
有頂天になっていた。