王国ファンタジア【氷眼の民】
里の中央部に位置している集会所。
大長老と五人の長老達は、とある人物の到着を待っていた。
噂から早一週間。王国からの使者は来る気配すらない。
考えてみれば分かることだ。
国の一大事とはいえ、反逆者を王都に呼び寄せるほど王は甘い人物ではない。
徴集がかけられていない以上、無理に王都へ行っても追い返されるだけ。
下手をすれば、その場で打ち首になるかもしれん。
とはいえ、この先代一隅のチャンスを棒に振ることは出来ぬ。
そこで大長老は、ある人物に白刃の矢を立てた。
大長老すら超える氷結魔法の使い手。不信感を得られることなく王都へ潜入できる人物。
氷眼の民最強の男。
だが五人の長老は、その人物の起用に猛反対した。