王国ファンタジア【氷眼の民】
両親の解放。
レインは眉をピクリと動かすが決して動じない。いや、動揺を隠している。
「解放だと? 二人を封印したのはお前達じゃないか。両親を人質に取り、僕の行動を抑え込んだのはどこのどいつだ」
「ならば話は早い、早速王都へ向かうがいい。逆らえば両親の命はどうなるか、分かっていようぞ?」
歯を食いしばる。
レインの周囲にはより一層冷気が漂い、彼を中心に冷風を巻き起こしていた。
「ついに本性を現したかハゲタカめ。そんなに僕の眼が恐いか? そうだろうな、この五年間で雇った暗殺者は何人だっけ? どいつもこいつも歯ごたえがない奴ばかりで正確な人数を忘れちゃってね、教えてくれませんか大長老様!」
「いい加減にせんか悪魔の子め! 暗殺者など雇っておらぬ! 貴様のような悪魔の子は命を狙われて当然だ!」
長老の一人が声を荒げる。
激情したレインは声の主に右手をかざすと、氷片を纏った突風が巻き起こり、長老を壁に突き飛ばした。