かんけりっ!
勝つ為には四人は捕まえなければならない。
しかし今は、動けない。
どうすれば、いい。
くそ。
焦燥から、頬を汗が伝い顎の切っ先からこぼれ落ちる。
地面には一点だけ色の変わった所が目立つ。
「キャプテン。俺、部室棟に行きます」
「なっ!?」
何を言ってやがる。
そうまくし立てようとしたが。
「このままじゃ、勝てないんですよね?」
その言葉に俺の言葉は口の中で留まり、けれど憤りから歯を軋ませる。
言い返す言葉がないのだ。
確かにこのままじゃ、勝てない。
児戯としての缶蹴りならほとんど運動神経でまかり通る勝敗だが。
この競技缶蹴りではそうは行かない。
あの【魔女】の事だ。負けない為に、缶の周りにあっさりと五人配置するだろう。
それは事実上の引き分け通告だ。