かんけりっ!



勝つ為には四人は捕まえなければならない。


しかし今は、動けない。


どうすれば、いい。


くそ。


焦燥から、頬を汗が伝い顎の切っ先からこぼれ落ちる。


地面には一点だけ色の変わった所が目立つ。


「キャプテン。俺、部室棟に行きます」


「なっ!?」


何を言ってやがる。


そうまくし立てようとしたが。


「このままじゃ、勝てないんですよね?」


その言葉に俺の言葉は口の中で留まり、けれど憤りから歯を軋ませる。


言い返す言葉がないのだ。


確かにこのままじゃ、勝てない。


児戯としての缶蹴りならほとんど運動神経でまかり通る勝敗だが。


この競技缶蹴りではそうは行かない。


あの【魔女】の事だ。負けない為に、缶の周りにあっさりと五人配置するだろう。


それは事実上の引き分け通告だ。


< 112 / 358 >

この作品をシェア

pagetop