かんけりっ!
「だ、誰もいないのか。部室棟?」
『ええ、一人もッス』
一人、も?
最初、それは安心だけを伝えた言葉だった。
奴等がいない。そう印象付けるからだ。
だが、それは逆に考えればおかしい。
いや、ある意味では俺の読みを肯定していた。
「に、西木。そこから、は、早く戻ってこい」
『え?なんスカ?よく聞こえないッス』
俺の焦りからか、声をやけに低くしてしまったからか上手く伝わらない。
「西木。そこに、奴等はいる。だから、早く」
『は?キャプテン。誰もいないんスヨ?缶蹴っつう変な集団がいないんでスよ?』
「違う!!そうじゃない!!奴等はいる!!」
『いや、怒鳴んないでくださいよ。意味わかんないス』
「だから、いないんだろ!!『偵察に行った二人も』!!」