かんけりっ!
『勇者』の奏でるレクイエム2
★ ★ ★
本来ならば、僕等缶蹴同好会は『鬼』の時間は五人全員で缶の周りに張り付いていればほとんど自動的に勝利出来る。
桃東先輩さえ「それが定石」とさえ言っていた。
けれど、『鬼』『兵』が入れ替わった後半戦。
缶の周りにいるのはなぜか僕と桃東先輩だけだった。
桃東先輩曰わく、「缶蹴同好会の歴史にそんな勝ちなど必要ない」らしい。
正々堂々。
どんなに勝機があっても。
どんなに不利であっても。
真正面からぶつかり合い、その上で勝利する。それが缶蹴同好会の絶対理念。らしい。
正直な所、僕はどうでもいい。
ていうか勝てば官軍でいいじゃないか。
「桃東先輩」
「何かしら」
僕は肩越しに振り返った。
僕等は現在、背中越しに円を挟んだ状態で缶の見張りをやっている。