かんけりっ!
それに加えてその話を笑い話にしちゃってる桃東先輩がいるんだから、そりゃまぁ嫌いになるわ。缶蹴同好会。
「あ、そう言えば一つ気になる事が」
「ん?」
「なんであの人、【勇者】は【勇者】って通り名なんですか?」
「あ~。それ、ね」
さっきまでの笑い声はどこえやら。桃東先輩が一転して困った顔をする。
「色々、あるんだよ」
「色々」
これは、気になる!!
「その色々って」
なんですか!?は、突然の雄叫びに打ち消された。
春の、朝の静かな空気を掻き乱す。慟哭にも似たほう吼。
それは部室棟からだ。
「【勇者】だ」
そう呟くと桃東先輩は静かに立ち上がった。
「来ますか?」
「さぁ、まだ。わからない」
まるで『兵』の姿でも見えてるかのように桃東先輩は部室棟を睨みつける。