かんけりっ!
砂埃を上げ、【勇者】がグラウンドに転がる。
…やった。やってやったぞ!!
打ち抜いた右手は僅かに痛かったが、それ以上にあの【勇者】に一撃入れた事が嬉しい。
けれど。
「貴様、ブチ殺す」
怒気を放ち、緩慢に立ち上がる【勇者】。
だが、既に僕には恐怖なんてない。
「殺してみな、【勇者】」
「……おおおおおおっ!?」
【勇者】が雄叫びを上げる。
なんて凄まじい声だ。
地面がまるで揺れてるみたいだ。事実、砂利が小刻みに震えている。
なんて男だ!?
「…フフ、神奈河。いや、夏樹。貴様の姉にも昔同じ返しをされたのを思い出したぞ!!」
同じ、返し?
「いいだろう!!貴様に、俺の本気を見せてやる!!」