かんけりっ!
忍び寄る足跡
★ ★ ★
【勇者】が、負けた。
『彼女』はそれを確認すると「フゥ」と一つ息を吐き、スカートのポケットから携帯を取り出しリダイアルを押した。
数コールの内に通話状態になる。
『試合は終わったのか?』
そんな第一声に『彼女』は表情を崩した。
「『もしもし』とかはなしですか?」
『…必要だったなら言うが?』
電話の向こうの声はつまらなそうにそう返す。
「いえいえ、別に必要ではないんで。大丈夫です。あ、ついでに試合は終わりましたよ」
『そうか。意外と時間が掛かったな』
そうかな?
『彼女』は携帯を耳から外し液晶の時間を見る。
試合開始から今で二十分弱。
試合自体は合計で十五分位といった所か。