かんけりっ!
悩む年頃
★ ★ ★
フランシア先輩が僕の懐に潜り込み、その刹那。
顎(あご)に鈍い痛みを伴って体が宙に浮いた。
「私の邪魔を、するな」
アッパーを放った状態で、フランシア先輩はポツリとそんな事を言う。
僕の体が重力に従って地面に不時着する。
「痛ぅ…」
打ち抜かれた顎をさすりながら僕は顔を上げフランシア先輩をーー。
ーーって、もういないし。
振り向けば、僕の背後にあった缶にまっしぐらなフランシア先輩。
やっぱり強いなぁ。フランシア先輩。
体育座りみたいになって、そんな事を思う。
場所はこないだ、サッカー部との戦場である校庭。
そこで四対一の模擬戦をやっているのだ。
ちなみに一は言わずもがなフランシア先輩だ。
僕を、誰かの影が覆った。
「どしたの夏樹君。心ここにあらずな感じだけど」
影の主は桃東先輩だった。
「……わかりますか?」
「余裕でわかるよ」