かんけりっ!
伝説との出会い。
★ ★ ★
『彼女』、桃東 雷が初めて缶蹴りを知ったのは中学生二年の頃だった。
その頃の『彼女』の中の缶蹴りのイメージと言えば、小学生位の子供。それも男子のやる遊びとしか思っておらず、それは間違いではなかった。
けれどその固定観念は、突然の出会いによってあっさりと音を立てて崩れる事になった。
それは『彼女』の中二の夏。
陸上部だった『彼女』は中総体も終わり目標を秋の記録会に向け、夏休みの間も照りつける太陽の下で走りつづけていた。
ある日の部活の帰り。『彼女』は声を聞いた。
不思議な声だった。
「うるぬぐれはかたなやさはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
理解不能な絶叫にも似た声。
何事!?
と、『彼女』は「もしかしたら誰かが襲われてるのかもしれない」
そう思った瞬間。体は勝手に声のするほうへ向かっていた。