かんけりっ!
「そんな事をして南さんが喜ぶと思いますか?」
『彼』は答えず、ぼんやりと彼女に目を向ける。
窓から差し込む赤光が彼女を赤に染めていた。
「説得は無意味だ、茜子君」
それを踏まえた上で「思わない」と『彼』は言う。
なぜならば、それは『彼』にとって意味をなさないから。
瞬間の事。
カチャリと生徒会執務室のドアが開き。
「入りますよ」
目を向けると入室したのは小柄な女子。
「トライ、ゾン」
どこか憎々しげに茜子が女子の二つ名を呟く。
トライゾンと呼ばれた女子はチラリと茜子を一瞥すると一つ舌打ち。
もともといい空気ではなかった生徒会執務室が一気に険悪な空気に包まれる。