かんけりっ!
「しかし、私も少し遊び過ぎたみたいだね。余計なダメージを受けた」
「遊び過ぎた?なんだそれ」
今までのは本気じゃなくて、これからは本気出す。って事か?
それはなかなか僕を小馬鹿にしてるな。
「謝るよ夏樹。私も、ちょっとだけ本気出すから」
「本気を出してーー」
勝てると思うな。
その言葉は僕の口から発する事はなく、口内で掻き消える。
頬を撃ち抜く鋭い茜子の右ストレート。
「が、ぁ」
拳は真横から。軌道から鑑みるに茜子の動きはさっきの第一撃と変わらない。
変わったのは速度だけ。
それも僕が全く反応できないような速度。
だ、が。
一撃自体の破壊力は『勇者』以下だ!!
「うがぁ!!」
反撃に転ずる僕の左ストレート。しかし茜子は腕の外側へと回避する。