かんけりっ!
「……何だ。喧しいな」
初老の男性教師は嗄(しゃが)れた声で振り返る。
表情は不快感を露わにしてる。
しかして教師の不快感を助長するかのように不明だった音は徐々に鮮明になっていく。
これは、足音?
音の大きさと間隔から察するに走ってるみたいだ。
「……ったく。今は授業じゃぞ」
教師はそう言って廊下に出た。
「授業中じゃぞ!?静かに」
だが足音の主は止まることも謝る事もなく西木の教室の前を駆け抜ける。
その駆け抜けた主。
その男に西木は見覚えがあった。
あのサッカー部と缶蹴同好会の一戦。
あの試合で兵庫キャプテン…。いや『勇者』にかんぷ無きまでに叩きのめされた、『伝説』の弟だ。