かんけりっ!



「見つけた…」


「缶に触れられとでも思っているのかい♪♪」


瞬間、頭上に降る真乃枇杷の右足。


両腕を交差させ受け止めるが、「うわっ!?」


すぐさまバランスなんてものを捨てて左足が僕の頭を狙う。


しかしそれは桃東先輩が防ぐ。


「あとちょっとで、缶に手が届くの!!頑張って!!」


それは僕に言ってるのか自分に言ってるのか。


それを肯定的に前者と捉え僕は缶へと体を突き動かす。


缶を囲う円まではあと一歩踏み出すだけ。


それなのに…っ!?


「行かすものかよぉっ!!」


行く手を遮る女生徒。


所々、血と泥と埃と痣にまみれた柿宮。


柿宮は拳を作り、腕を引き。


僕に向けてその拳を放った。


【トライゾン】


意味は知らないが真乃枇杷にそう呼ばれ、利用された彼女の渾身の一撃。


僕はそれを交わさなかった。


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